エコ&サステナブルな旅がブーム。冬こそシンプルな旅支度で出かけよう
スーツケースはどんどんサイズダウンする
最近、旅行用のバッグやスーツケースがどんどん小さくなってきています。以前は旅の日数によって大・中・小を使い分けていましたが、現在所有しているのは2~3泊用の小さめのキャリーケースと、中くらいのサイズのスーツケースの2個だけ。旅行用のバッグは大きくなればなるほど、使うか使わないかもわからないもの、無駄なものを“とりあえず”どんどん詰め込みたくなります。お土産だってスペースに余裕があれば、際限なく買ってしまいます。反対に容量が小さければそれなりに持ち物やお土産も厳選し、何とか収まるように工夫するものです。 以前は「旅先で迷ったら、買う」「買わないで後悔するより、買って後悔したほうがいい」と思っていました。スーパーマーケットや朝市を巡るのが大好きなので、ジャムとかハチミツなどの瓶モノ、その土地ならではの調味料やお酒にも目がありません。お土産も多めに買ってしまう傾向があり、帰りの荷物は自分で持ち上がらないほど重くなることがしばしば。空港のチェックインでは、手荷物の重量超過にいつもびくびくしていました。シンプルな旅支度のために、パッキングのテクニックも磨きたい
スマートな旅に大きな荷物は似合わない
そんな私がスーツケースのサイズダウンを決行したのは数年前のこと。自宅に増える一方の瓶モノや、買い過ぎて行き場を失ったお土産がどんどんたまっていくの感じたからです。賞味期限が切れて廃棄せざるを得なかったものもあります。それを見て、「自分は何のために旅しているのかな?」と思ったから。試しにスーツケースを2サイズくらい小さくしてみたらとくに不自由はなく、それどころかフットワークが軽くなり、とても充実した旅になりました。 ほかにも理由があります。これまで何度も飛行機や列車に乗り遅れそうになって、空港や駅のホームを爆走した経験があっから。実際に帰国便に乗り遅れてしまい、格安チケットで出かけたはずなのに、片道だけ正規運賃で帰ってきた苦い経験もあります。自分で荷物を運ぶ必要がない人や、世界一周のクルーズ旅行なら別ですが、スーツケースをスリム化することで、旅先でのフットワークは確実に良くなります。愛用中のスーツケース。10日以上の海外でも、これ以上大きくなることはありません
荷物が多くなりがちな冬の旅、少しでも荷物を減らしたい!
ほとんどの旅は小さいキャリーケースで出かけます。中サイズのスーツケースを利用するのは1週間以上の海外旅行や、国内でもスキー、トレッキングなど特別な装備が必要なときだけ。10日間でも、2週間以上でもこれ以上大きくなることはありません。だって、1泊でも3泊以上でも最低限必要なものは変わらないから。下着の替えは3日分あれば十分だし、滞在中のスケジュールを見ながら着回しに工夫すれば、旅行期間が長くなったからといって荷物がどんどん増えることはないのです。厚手の洋服が多い冬場なら、「かさばるものは、行き帰りに身に着ける」、これで荷物はぐんと減らせます(笑)。 スーツケースが小さくなったからといって、旅の大きな楽しみのひとつであるお買いものをあきらめたわけではありません。空きスペースに収まる量だけ、本当にほしいものを厳選するようになりました。また、荷物が入りきらなくなった時のため、小さくたためるサブバッグは用意しています。現地で買ったお土産や瓶モノ、お酒などの重いものはできる限りスーツケースに詰め込み、衣類をクッション代わりにしてすき間を埋めます。入りきらない洋服や洗面用具をサブバッグに入れると、手持ちの荷物の重量が軽くなって移動が楽です。帰宅して小さなスペースからドラえもんのポケットのごとく、次々と出てくる「旅の戦利品」を眺めるのは、なかなか楽しいものですよ。自分で運べる大きさ&重さであることがスーツケース選びの条件
アメニティのスリム化に欠かせない「スチームクリーム」
旅の荷物を減らすために、洗面用具やアメニティを最低限にすることも心がけています。最近では滞在先のホテルにあるアメニティはネットでチェックすることが可能で、シャンプーやコンディショナーのブランドまで知ることができます。幸い、アメニティによって肌トラブルが起こったことはほとんなく、ホテルにあるものはどんどん利用する派。その代わり必ず持参するのが、“マイ歯ブラシ”。これだけは使い慣れたもののほうがいいし、ホテルの使い捨て歯ブラシはエコでない気がするからです。 マイ歯ブラシとともに必ず持ち歩いているのが、「スチームクリーム」。以前、滞在した海外のホテルで、バスルームのアメニティがセッケン1個だけということがありました。世界遺産に登録されている自然公園のなかに立つコテージで、近くにコンビニもありません。全身はもちろん、髪の毛もこのセッケン1個で洗うことになりました。そんなとき、バリバリになった髪を潤してくれたのがスチームクリーム。まさに、旅先の救世主! お顔や全身の保湿のほか、軽いメイクならこれで落とせるし、ハンドクリーム代わりにもなる。何通りにも使えるので、アメニティのスリム化に欠かせないアイテムになっています。「スチームクリーム」がひとつあれば、全身のケアはOK
近ごろのホテルは「サステナブル」「SDGs」がコンセプト
旅していて気付くのは、近ごろホテルのアメニティもどんどんシンプルになっていること。歯ブラシ、ヘアブラシ、男性用の髭剃りなど、部屋に備え付けずに必要なものをフロントでピックアップするところが増えています。ビジネスホテルだけでなく、シティホテル、リゾートホテルでも同様のシステムを採用し、さらに個別包装のバスアメニティを置かず、ポンプタイプのものを置いているホテルは少なくありません。どちらもプラスチックごみの削減が理由。エコ、サステナブル、SDGs(持続可能性を実現するための目標のこと)とは真逆の存在と思われていたラグジュアリーホテルでも同様の取り組みが見られます。豪華なバスアメニティがホテルのステイタスだった時代は、少しずつ変わり始めているようです。ホテルのアメニティのクオリティも確実に向上しているので、活用したい
貴重な時間と体験を与えてくれた土地に、やさしい旅人になりたい
「エコツーリズム」という言葉も、聞かれるようになってきました。エコバッグも旅の必需品です。日本でもレジ袋が有料化され、エコバッグを持ち歩くことが一般的になりましたが、海外ではもっと早くから導入されていました。スーパーマーケットはもちろん、ブランドショップでも、ロゴ入りのペーパーバッグが有料というお店は珍しくありません。またスーパーでは「BULK(バルク)」といって量り売りが基本。野菜や果物ばかりか、シリアルやパスタ、小麦粉、ハチミツや、オリーブオイル、化粧品なども自身で袋や容器を持参し、必要な量だけ購入します。こういう土地へ行くと、エコバッグを忘れて有料レジ袋をいくつも抱えているのがカッコ悪く見えてしまいます。調味料、粉もの、ボディケア用品まで、すべて量り売りのスーパーマーケット(ニュージーランドにて)
最近、新たに加わった旅のアイテムが“マイ水筒”です。これは世界自然遺産に登録された沖縄の西表島で、ペットボトルフリーの取り組みを行っているリゾートホテルに滞在したことがきっかけになりました。このホテルでは客室にペットボトルのミネラルウォーターは置いてなく、ロビーのウォーターサーバーを利用するシステム。水筒の貸し出しも行っていました。もちろん、アメニティは必要なだけピックアップするシステム。離島の物資には高い輸送料とエネルギーがかかっています。使用後のペットボトルなどのプラスチックごみは、処理場がある大きな島まで再び運ばなければならず、そのためのエネルギーがさらに必要になります。このことを知ってから、荷物が増えてしまうけれど、マイ水筒が加わったというわけなのです。ペットボトルフリーに取り組む沖縄・西表島のホテルにはマイ水筒持参で
旅の必需品は、人によって異なります。そのなかで、自分にとって必要なものとそうでないものを考えながらスリム化していくことが、シンプルな旅支度のポイントではないでしょうか。持ち歩く荷物の大小だけではなく、“旅”という貴重な時間を提供してくれた自然や場所にできる限りやさしい旅人になることも、これからのテーマになっていく気がしています。